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魔が差した 2011.09.11 23:03
思い浮かんだらやらずにはおれなかった。

なんか、勢いって怖いよね!


そんなわけで、タイバニ風に10月発行予定の新刊予告してみました。
あまりに馬鹿なので隠します。


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短編 2011.06.18 20:46
短編というほど短くもない。

突然始まり突然終わっているので注意。
長い話の中の一幕的な感じになってしまいましたので。


ちなみにゾロサンです。


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短編 2009.05.28 00:25
四月馬鹿 2007.04.01 11:30
後でサイトにまともなのアップしますが。
その前にワンクッション?

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ビクフリ 2007.02.13 23:48

「こないの……」
「えっ……? それって……」
「えぇ。お医者様に見て貰ったら、三ヶ月だって……」
フラフラと城内を歩いていたビクトールの耳に、建物の影からそんな会話が聞こえてきた。
これは修羅場になるのかと様子を窺っていたら、どうやら男は責任を取る気があるらしい。プロポーズしていた。
その言葉に女性は涙を流しながら喜び、二人はがっしりと抱き合った。
戦争まっただ中とは思えない平和な情景に頬を緩めつつ、そっとその場を離れる。
「子供か……産まれる頃までに、この戦いは終わってっかなぁ……」
むしろ、終わらせねば。じゃないと、安心して大きくなれないだろう。
そんな事を考えながらフラフラと城内の見回りと続けていったビクトールは、陽が落ち始めたところでその足を酒場へと向けた。
チラホラと客が入り始めた店内には、珍しくフリックの姿があった。
いつもなら執務室に籠もって仕事をしている時間なのだが。今日は仕事が少なかったのだろうか。
そんな事を考えながら近づいて行く。

「おう、フリック。今日は早いな」
軽く右手を挙げながら言葉をかければ、フリックはテーブルに落としていた視線をチラリとあげてきた。
そして、苦しげに顔を顰める。
「……どうしたんだ?」
あまり見ないフリックの表情に、眉間に皺を刻み込みながら問いかけ、フリックの向かいの席に腰を下ろす。
そんなビクトールにしばらくの間視線を向けていたフリックだったが、なんの前触れもなく突然スッと視線を自分の手元に落とした。
そして、苦しげな声で呟く。
「……こないんだ」
「えっ?!」

聞き覚えのある言葉に、自然と声が高くなった。
客が少ない店内にその声は思った以上に響き渡り、思わず己の口を手のひらで塞いだビクトールは、口を塞いだ状態のままキョロキョロと辺りを見回した。そして、誰もこちらに注目していない事を確かめてから、小さな声で問いかける。
「来ないって……?」
何がと瞳で問えば、そんな事は言わなくても分かるだろうと言いたげに睨み返された。
その無言のメッセージを受け、軽く頷く。
確かに、『来ない』と言えば、アレしかない。
先程の女性が言っていた事しか。
しかし、それがフリックにあったと言うのだろうか。ソレが無いと言うことは、彼の腹に新たな命が宿っていると言う事だろうか。

「――――マジか?」
男としては最低な台詞だと思いつつも、そう口にしてしまった。聞かずにはおれなくて。
その問いに怒ったようにムッと表情を歪ませたフリックだったが、罵倒をぶつけてくることもなく、深く頷き返してくる。
ゴクリと、唾を飲み込んだ。
そんなバカなと、ソンなことがあり得るかと言いたいところだが、それはさすがに踏みとどまる。
代わりに、違うことを問いかけた。
「いつから、こないんだ?」
その問いに、フリックはギロリと睨み返してくる。言わなくても分かるだろうと、言いたげに。
だが、ビクトールには全然分からない。まったく覚えがない。そもそも、どれくらいの周期でソレが来ていたのかすら知らなかった。というか、ソレがあった事すら知らなかったのだ。いつから来ていないのか、なんてこと分かるわけがない。


「――――お前のせいだからな。ちゃんと責任取れ」
「――――あぁ、分かってる」
恨めしげな表情と口調で告げられた言葉に、深く頷き返した。
自分以外のモノがフリックに触れているわけがない。ソンなこと、フリックが許しはしないだろう。だから、彼の腹に宿っているものの父親は、自分だ。間違いない事だ。
ならば、責任を取るのは当たり前のことだ。
他でもない、この世で一番大切な人間が自分との子供を産んでくれると言うのだ。喜んで責任を取る。関わるなと言われたって、関わるだろう。

「俺に出来ることは、なんでもする。言ってくれ」
その言葉に、フリックは軽く目を見開いた。思っても居なかったことを言われたと言わんばかりに。
そしてクスリと、笑みを漏らす。
この場に来てから始めてみせる笑みだ。呆れの色を含みながらも、どこか甘さも混じっている、笑み。
その笑みを浮かべたまま、フリックはゆっくりと胸の前で腕を組んだ。
「良く言うよ。直前になったら逃げるくせに」
「逃げねぇよ。愛するお前のためだ。どんな苦難にも立ち向かうぜ」
「大口は叩かない方が実のためだぜ?」
「大口なんて叩いてねぇよ。本心から、そう思ってんだ」
そこで一旦口を閉じたビクトールは、小さく息を吸った。そして、勢いよくその場に立ち上がり、突然のビクトールの行動に軽く目を見張っているフリックの傍らへと移動する。
ドカリと、空いていたフリックの隣の席に腰をかけたビクトールは、そのままの勢いでフリックの両手を握り混んだ。
そして、真っ青な綺麗な瞳を覗き込みながら、告げる。

「お前と腹の子供は、俺が守る。俺の命に替えてもな。だから、産んでくれ!」
力強く告げた言葉に、フリックはポカンと口をあけた。
そして、信じられないモノを見るような瞳でマジマジと見つめてくる。
何を言っているのだと、言いたげに。
なので、その言葉を告げさせる前に言葉を継ぎ足す。
「お前のことだから、俺に守られなくても自分の身も子供の身も自分が守るってー言うんだろうが、お前の身体はもう一人の身体じゃねぇんだ。俺に、守らせてくれ」
真剣な表情でビシリと、自分の気持ちを伝えた。これ以上ないくらい真剣に。
そんなビクトールの言葉を、フリックは呆然とした表情で聞いていた。彼にしては珍しい表情だ。余程ビクトールの言葉に驚いたのだろう。それ程までに無責任男だと思われていたのだろうか、自分は。
それも少し寂しいモノだと思いながらフリックの出方を待っていたら、彼は唐突に微笑み返してきた。
とてもとても、柔らかい笑みで。
慈愛に満ちた、優しい笑みで。

思わず瞳が惹き付けられた。
回りのモノが見えなくなるくらい、フリックの笑顔に意識が集中する。

途端に、

体中に焼けるような、痺れるような痛みが走った。

「ぎゃーーーっ!」

思わず悲鳴を上げたビクトールは、椅子に座っていることすら出来ず、床の上にひっくり返った。
フリックの強烈な雷を、全身に叩きつけられたために。
「フッ………フリック………」
あのプロポーズでは気に入らなかったのかと瞳で問うために、なんとか頭を持ち上げてフリックの顔へと視線を向けた。
すると彼は、冷ややかな瞳で眺め下ろしていた。

「――――アホだアホだと思っていたが、これ程アホだったとはな……いったい何をどうしたらそんな奇っ怪な思いこみを出来るんだ?」
「何……を………」
「あ、フリックさんっ! こんな所に居た!」
掠れている声をなんとか振り絞りながら問いかけた言葉は、突如上がった明るい声に消されてしまった。
その声の主は、姿を見なくても分かる。この城の城主であるチッチだ。
彼は駆け足気味でフリックの傍らへとやってくる。そんなチッチに、フリックはニコリと笑いかけた。
「どうした、チッチ。何か用か?」
「はい、お仕事頼もうと思って」
「仕事?」
チッチが告げた言葉に、フリックの顔が僅かに歪む。警戒するように。
その警戒を読み取ったのだろう。チッチがニコリと笑い返し、軽く首を振った。
「違いますよ。事務仕事じゃないです。明日からの遠征に、ついてきて欲しいんです」
「本当か?!」
告げられた言葉に、フリックの顔はパッと輝いた。そんなフリックに、チッチはにこやかに頷き返す。

「本当ですよ。フリックさんに嘘なんてつきません」
「そうか……ようやく外に出られるのか」
「すいません。ずっとデスクワークばかり頼んでて。なにしろ、他に出来る人が居ないんで……やらせても良いと思えるだけ信用出来る人も少ないですし。ビクトールさんがデスクワークをやってくれたら、少しはフリックさんの負担が減るとは、思うんですけど……」
その言葉に、フリックがバカに仕切った視線をこちらに投げてくる。
「こいつにやらせたら余計に時間がかかるぜ。やらせるだけ無駄だ」
「そう言って甘やかすから、いつまで経っても出来ないままで居るんじゃないですか? ここは一つ、先を見越して、ビクトールさんを鍛えておくべきじゃないでしょうかね」
「そう思って俺も砦時代に何度も教育したんだけどな。猿には芸を仕込むことは出来ても、脳みそを増やすことは出来なかったよ」
「ハハハッ! フリックさん、言い方酷いですよ!」

酷いと言いながらも、チッチはもの凄く楽しそうにしている。なんとも失礼なガキだ。
そもそも、ここに来てから彼は一度もこちらに視線を向けていない。自分が床に倒れ伏しているのを、分かっているだろうに。
「じゃあ、明日午前10時にビッキーさんのところで待ち合わせって事で、お願いします」
楽しげに言葉を交わしていた二人だったが、チッチにはまだ仕事があるのか。ある程度話をしたところでそう言葉を句切った。
そんなチッチの言葉を受け、それ以上会話を続けようともせず、フリックは軽く頷き返した。
「分かった」
「遅れないでくださいね。遅れたら、置いていきますよ?」
「遅れるかよ。3週間振りの遠征なんだからな」
ニッと笑い返しながら、立ち去るチッチに軽く手を振っていたフリックは、チッチの姿が完全に消えたところでフッと息を吐き出した。
そしてポツリと、漏らす。

「やっと来たか……コレでようやく、ストレス発散が出来るってもんだ」
楽しそうに呟かれた言葉から、フリックが本気で遠征の誘いを待ち望んでいた事が知れる。
それと同時に、先程言っていた『来ない』ものが遠征の誘いであることも。
「――――紛らわしい言い方、しやがって………」
恨みがましい口調で漏らしたビクトールは、床に倒れ伏した状態でスッと意識を手放した。
なんとなく、すぐに立ち上がりたい気分になれなくて。

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